Products & Solutions202504.08.2025

企業が考慮すべき組み込みシステムのサイバーセキュリティ

by Roland Marx
企業が考慮すべき組み込みシステムのサイバーセキュリティ

本ブログでは、組み込みシステムにおけるサイバーセキュリティの重要性について解説します。特に、組み込みシステムならではのセキュリティ要件や、ネットワーク化の進展によって新たに生じるリスクに注目し、それらに対応するための具体的なソリューションもあわせてご紹介します。

  1. 長期間の稼働多くの組み込みシステムは、数年から数十年という長期運用を前提として設計されています。そのため、導入後もシステムを停止させることなく、セキュリティ機能の追加や継続的な保守が求められます。これは、サイバー脅威が日々進化しており、導入時点の対策だけでは不十分になる可能性が高いためです。
  2. ユーザーインターフェースのないヘッドレス構成: 組み込みシステムの多くは、画面やキーボードなどの入力装置を持たないヘッドレス構成がとられています。このため、障害発生時の診断や保守作業が難しくなり、特にセキュリティアップデートの適用には誤操作や不具合を避けるための慎重な対応が不可欠です。
  3. ネットワーク化の進展: IoT(モノのインターネット)やIIoT(産業用IoT)の普及により、ネットワークに接続されたデバイスの数は急速に増 加しています。その結果、攻撃対象が広がり、セキュリティの要件も複雑化しています。
  4. 「セーフティ」と「セキュリティ」の両立: 医療機器などの生命に関わる分野では、機器の動作が常に安全であること(セーフティ)と、外部からの攻撃に対する防御(セキュリティ)の両立が強く求められます。仮にセキュリティ問題が発生した場合、それが命に関わる深刻な結果を招くリスクもあるため、慎重かつ包括的な対策が必要です。

ネットワーク化によって高まる新たなリスク

近年、エッジコンピューティングやクラウドベースのソフトウェア活用、さらにIT(情報技術)とOT(制御技術)の連携強化が進んでいます。これにより、従来はスタンドアロンで動作していたレガシーシステムまでもがネットワークに接続されるようになりました。しかし、これらの既存システムは、もともとネットワーク接続を前提として設計されていないため、新たなセキュリティ要件への対応が困難です。特に、遠隔保守システムによって全機能へのアクセスが可能となる一方で、システム全体の安全性を脅かすリスクも高まっています。また、アップデートの適用によって、データやシステムの整合性が損なわれる可能性もあるため、慎重な対応が求められます。

組み込みシステムのセキュリティにおける主な課題

  • 稼働中機器への後付け対応
    医療機器やネットワーク通信機器など、運用を止めることができない業界では、システム稼働中にセキュリティアップデートを適用する必要があります。これには非常に高度な設計と対応が求められます。
  • 高い可用性の確保
    システム停止は業務への影響だけでなく、安全性にも重大なリスクをもたらします。そのため、常時稼働できる体制の確保が不可欠です。
  • カスタム設計されたシステム
    多くの組み込みシステムは特定用途向けにカスタム設計されており、汎用的なセキュリティ対策をそのまま適用することは困難です。したがって、個別対応が求められる場面が多いのが実態です。
  • 既存環境との互換性
    新たに導入するセキュリティソリューションは、既存システムや業界標準との高い互換性を維持しなければなりません。そうでなければ、現場での導入が進みにくくなります。

特に影響を受けやすい業界

組み込みシステムに対するサイバー攻撃の影響が大きいのは、製品の安全性や運用の信頼性が重視される業界です。具体的には、医療機器、産業プラント、ユーティリティ(電力・水道・ガスなどの重要インフラ)が該当します。また、アクセス制御技術や銀行・決済システムといった、データの完全性が極めて重要な業界も、高リスク分野に分類されます。これらの業界でセキュリティ事故が発生すると、巨額の経済的損失が生じる可能性があります。

考えられる対策とは?

  1. セキュリティレベルの分類
    すべてのシステムに最高レベルの対策を施す必要はありません。システムの重要度に応じてセキュリティレベルを分類することで、限られたリソースを有効に配分することが可能です。
  2. ブートプロセスとファイルシステムの保護
    安全な起動を実現する「セキュアブート」の導入やファイルシステムの暗号化は、外部からの改ざんを防ぐ基本的な手段です。
  3. ハードウェアベースのセキュリティ
    セキュアエレメントチップやTPM(Trusted Platform Module)などのセキュリティモジュールを用いることで、暗号鍵や認証情報をハードウェア内で安全に保護できます。
  4. ネットワークセキュリティ対策の強化
    セグメンテーションやファイアウォール、侵入検知システム(IDS)などを組み合わせることで、ネットワークに接続された組み込みシステムを多層防御で保護することが可能です。
  5. スイスビットのソリューション
    スイスビットでは、組み込み用途に特化した産業グレードのストレージおよびセキュリティ対策ソリューションを展開しています。これらは、過酷な環境下でも信頼性の高い動作を実現します。

結論

組み込みシステムのセキュリティは、その複雑さゆえに避けては通れない重要な課題です。長期稼働の前提、進展するネットワーク化、そして個々のシステム特有の要件を踏まえると、それぞれに最適化された対策が求められます。

ハードウェアとソフトウェアの的確な組み合わせにより、組み込みシステムをサイバー攻撃からしっかりと守ることが可能です。その実現には、「適切なソリューションを見極める専門知識」と「要件に合致する製品」が欠かせません。

スイスビットは、20年以上にわたり、データおよびデジタルIDのセキュリティ分野で信頼と実績を積み重ねてきました。中でも、当社の「セキュリティアップグレードキット」は、microSDをベースにした後付けソリューションとして、最大級の柔軟性と効果的なデータ保護性能を両立しています。

組み込みシステムのセキュリティ対策に課題を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。スイスビットの専門性が、貴社のセキュリティ強化にお役立ていただけるかもしれません。


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Roland Marx

Roland Marx has been the senior product manager for embedded IoT security solutions at Swissbit AG since January 2024. He also works as an embedded security consultant, pentester, and trainer, with a focus on secure IoT device operations since 2018. With experience as a developer, project leader, and team leader, Roland is well-versed in embedded, automotive, off-highway, aerospace, telematics, and renewable energy sectors. He has extensive knowledge of microcontroller programming, embedded Linux, and various IT, cloud, and server systems. Roland holds a degree in Physics from Julius-Maximilians-University in Würzburg.

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