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認証101:よく知られている5つの認証方法の比較

05/09/2024 - Alexander Summerer

この「認証101」ブログ投稿では、デジタルIDの認証と保護に関する方法、それぞれの長所・短所とあわせて、各方法に関する要約した評価を紹介します。

5つの認証方法の比較

  1. スマートカードログイン

概要:スマートカードはICチップを埋め込んだ物理的なカードで、暗号化された認証データが保存されています。スマートカードログインでは、ユーザーがカードをリーダーに挿入し、多くの場合、PINを入力することで認証を実行します。

長所

  • セキュリティ:暗号化されたデータと2要素認証(所持情報としてのカードと知識情報としてのPIN)による高度なセキュリティ。
  • 耐久性:カードは一般的に耐久性があり、数年間に渡って使用可能。
  • 標準化:官公庁や金融業界を中心に、さまざまな業界で広く採用。

短所

  • コスト:初期設定とメンテナンスのコストが高額になる可能性。
  • 利便性:ユーザーがカードを携帯する必要があり、カードリーダーが利用可能
  • カードの紛失や盗難:カードを紛失または盗難にあった場合、カードが無効化されるまでセキュリティ上のリスクとなる可能性。

使用事例

  • 企業環境:ワークステーションやネットワークへのセキュアなアクセス。
  • 行政機関:施設や情報システムへのセキュアなアクセス。
  • 金融サービス:セキュアな取引とデータの保護。

この認証方法に関する評価:スマートカードログインはセキュアな認証方法として認知され、広く受け入れられています。カードを紛失した場合は、セキュリティ上のリスクとなるため、直ちに無効化する必要があります。

  1. FIDO2ログイン

概要:FIDO2(Fast Identity Online)は、パスワードレス認証のオープンスタンダードです。FIDO2は公開鍵暗号方式を使用し、ハードウェアセキュリティキー(iShield Keyシリーズなど)、生体認証、スマートフォンなど、さまざまな認証手段が利用可能です。

長所

  • セキュリティ:公開鍵暗号方式による高度なセキュリティを特徴とし、フィッシングやハッキングから保護。
  • ユーザーエクスペリエンス:パスワードが不要になり、ログインプロセスが簡素化。
  • 柔軟性:複数の認証手段を利用でき、ユーザーにさまざまなオプションを提供。

短所

  • 導入:サービスプロバイダーからのサポートが必要で、導入はプラットフォーム全体が対象。
  • 初期コスト:ハードウェアキーの購入やインフラのアップグレードが必要になる可能性。
  • 互換性:利用しているデバイスとプラットフォームが、FIDO2に対応しているか確認が必要。

使用事例

  • オンラインサービス:ウェブサービスやアプリケーションへのセキュアなログイン。
  • エンタープライズ環境:企業内のリソースにパスワードレスでアクセス可能。
  • 家電製品:個人のデバイスやアプリケーションへのセキュアなアクセス。


この認証方法に対する評価:FIDO2ログインは、公開鍵を用いるプロセスによって非常に高いレベルのセキュリティを備えています。また、パスワードが不要になるため、ログインプロセスが簡素化されます。

Takeover ATO risk in percentage by MFA Type

多要素認証(MFA)のタイプ別にみたアカウント乗っ取り(ATO)リスクの割合

  1. アウトオブバンド認証

概要:アウトオブバンド認証は、ログインなどの通常プロセスで使用していない別の通信経路を用いてユーザーのIDを確認する仕組みです。これには、SMS、電子メール、電話による確認コードの送信などがあります。

長所

  • セキュリティ:主要な認証方法とは別の通信経路を使用することで、セキュリティにレイヤーを追加。
  • 使いやすさ:ユーザーは、SMSや電子メールでのコード受信に慣れている。
  • 高いコスト効率:一般的に、導入と維持のコストが安価。

短所

  • 信頼性:二次通信経路(電話回線など)の可用性に依存。
  • セキュリティリスク:SIMスワッピング、フィッシング、電子メール侵害などの攻撃に脆弱。
  • ユーザーエクスペリエンス:ユーザーが二次通信経路で利用するデバイスにアクセスできない場合は不便。

使用事例

  • 銀行業務:取引とアカウントへのアクセスの確認。
  • オンラインサービス:2要素認証とアカウントの回復。
  • ヘルスケア:患者の記録とシステムへのセキュアなアクセス。

この認証方法に対する評価:アウトオブバンド認証は広く認知された2要素認証の一種で、このため第2の通信経路(SMSや電子メールなど)を必要とします。ですが、この方法はフィッシングなどセキュリティリスクとなる可能性があります。

  1. 生体認証

概要:生体認証は、指紋、顔認識、虹彩スキャン、音声認識など固有の生物学的特徴を使用して本人確認を行います。

長所

  • セキュリティ:生体情報の普遍性・唯一性・永続性によって、高いレベルのセキュリティを実現。
  • 利便性:パスワードを覚えたり、認証用の追加デバイスを持ち運ぶ必要がないため、ユーザーは迅速かつ簡単に認証が可能。
  • 譲渡不可:生体情報は簡単に共有したり盗まれたりすることがない。

短所

  • プライバシーに関する懸念:生体情報が悪用される可能性。
  • 誤検知:ユーザーを認識できない、および別人を誤認する可能性。
  • コスト:生体認証システムの導入は高コスト。

使用事例

  • スマートフォン:デバイスのロックを解除し、支払いを承認。
  • 空港:乗客の本人確認とセキュリティチェック。
  • 企業のセキュリティ:施設やシステムへのセキュアなアクセス。

この認証方法に対する評価:生体認証は生物学的な個人性によって高いレベルのセキュリティを備えています。ただし、システムの導入には多大なコストがかかります。

  1. ワンタイムパスワード(OTP)認証

概要:ワンタイムパスワード認証では、ログインセッションごとに一意の一時的なパスワードが生成され、SMS、電子メールや専用アプリで送信されます。

長所

  • セキュリティ:特に、プライマリパスワードと組み合わせることで、さらにセキュリティを強化。
  • 使いやすさ:ユーザーにとって使い慣れた方法で、導入も容易。
  • 柔軟性:さまざまな認証方法との併用が可能。

短所

  • 信頼性:送信方法によって異なる(例:SMSの場合は電話回線)。
  • セキュリティリスク:傍受やフィッシング攻撃に脆弱。
  • ユーザーエクスペリエンス:特に、ワンタイムパスワードの送信が遅れた場合は不便。

使用事例

  • オンラインバンキング:取引とアカウントへのアクセスを保護。
  • 電子商取引:購入とアカウントの変更を確認。
  • 企業システム:VPNおよびリモートアクセスのセキュリティを強化。

この認証方法に関する評価:ワンタイムパスワード認証は他の認証方法と組み合わせた使用が可能で、セキュリティにレイヤーを追加できますが、フィッシングによって潜りぬけられる可能性があります。

まとめ

ご紹介してきた中でもFIDO2セキュリティキーは、最も強力で柔軟性の高いハードウェア認証ソリューションの1つと言えるでしょう。私たちスイスビットが提供しているハードウェアセキュリティキー製品のiShield Keyは、他の認証方法と比べて少なくとも5つの重要なメリットを提供します。それぞれの認証方法には長所と短所があり、どの方法を使用するかは、多くの場合、組織やユーザーのニーズと状況によって異なります。究極的には、複数の認証方法を組み合わせた多要素認証のアプローチが、最も包括的なセキュリティを実現します。

5つの認証方法についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。デジタルIDの認証と保護に関してお困りの際はぜひお問い合わせください。